化粧品を輸出する方法や海外での規制など
化粧品の販路を拡大する方法のひとつとして考えられることに「輸出」があります。
海外において日本の化粧品は、品質の高さで評価される傾向にあり、海外を商圏として取り込めれば売り上げ増も決して夢ではありません。
ただし、輸出にあたっては、言葉や文化の違いだけでなく、法的にクリアしなければならないこともあります。
化粧品の輸出にあたって知っておきたい基礎的な事項について説明しますので、どうぞ参考にしてください。
化粧品を輸出する方法
「化粧品を輸出する」といったとき、具体的な方法としてどのようなイメージを持つでしょうか?
人それぞれのイメージがあるかと思いますが、方法としては大きく次の3パターンが挙げられます。
外国向けの化粧品を製造して輸出する
ひとつは、最初から外国で流通させることを狙って化粧品を製造し、輸出するというパターンです。
ターゲットとする国のニーズに自社の製品開発技術で対応できるという見通しが立つのであれば、挑戦してみる意義は大いにあるといっていいでしょう。
この場合の条件としては、「化粧品製造業」の許可を取得することのほか、医薬品医療機器総合機構(PDMA)を経由して「輸出用化粧品製造等届書」を厚生労働省に提出することが定められています。
国内向けの化粧品のパッケージを変更して輸出する
二つ目のパターンは、国内向けに製造・販売している化粧品のパッケージやラベルなどを海外向けに変更して輸出するというものです。
この場合は、化粧品の包装や表示、保管に関する行為は「製造」としてみなされるため、「化粧品製造業」の許可を得たうえで、「輸出用化粧品製造等届書」を医薬品医療機器総合機構(PDMA)経由で厚生労働省に提出することが必要となります。
国内向けの化粧品をそのまま輸出する
三つ目が、国内向けの化粧品のパッケージ等を変更することなく、そのままの状態で輸出するというパターンです。
この場合は、輸出にあたって特にしなければならない手続きはありません。
ただ、ひとつ気をつけておきたいのは、海外から返品や交換がある場合の対応です。
こういったケースでは、化粧品を「輸入」することになります。
そのため「化粧品製造業」ではなく「化粧品製造販売業」の許可を得ることが必要です。
化粧品輸出で知っておきたい海外の規制
化粧品の成分や取り扱いについては、日本においても法的な規制がされているように、海外にも規制があります。
その規制は世界で統一されているわけではなく、国によってそれぞれです。
ある国ではOKだったことが別の国ではNGということもあれば、逆のケースももちろんあります。
輸出を考える場合は、対象とする国が定めている化粧品の法律、輸入に関する法律を確認しておきましょう。
許可の取得を必要とすることもあるかもしれません。
その場合は、書類等を準備して、申請・許可を取らなければ、輸出や販売ができないということになってしまいます。
例として、日本製化粧品の人気が高く、輸出先として参入している業者も多い中国の規制について見ていきましょう。
中国では化粧品を「特殊化粧品」と「一般化粧品」に分類しています。
「特殊化粧品」に該当するのは、ヘアカラー、パーマ、抜け毛予防、日焼け止め、美白とシミ除去のほか新しい効能を持つ化粧品で、それ以外は「一般化粧品」です。
中国に特殊化粧品を輸出する場合(中国側から見て輸入する場合)は、国家薬品監督管理局(NMPA/National Medical Products Administration)に、国家薬品監督管理局システムを通して特殊化粧品の登録証を申請し、取得しなければなりません。
申請するのは、化粧品の生産者および代理人です。
なお、申請はシステムでできますが、その後、書類資料の提出を求められることがあり、その場合は、相応の対応が必要となります。
申請・書類の提出をすると化粧品の成分や機能に関する審査が実施され、大きな問題がなければ登録証が発行されるという流れです。
なお、登録証取得までの期間はおおむね4~6カ月、有効期限は5年となっています。
一般化粧品の場合は、中国国内に法人を設置し、国家薬品監督管理局システムを通した届出が必要です。
書類準備から届け出が完了するまでには、2~6カ月ほどの時間がかかります。
化粧品の輸出で必要となる国内の証明
化粧品を輸出するにあたっては、対象国の手続きだけでなく、日本国内でも証明取得等の手続きが必要です。
GMP証明書
GMPは「Good Manufacturing Practices」の頭文字を取った用語で、「GMP証明書」は、輸出する化粧品が、信頼のおける適切な設備で製造・管理・流通しているものであることを証明してくれるものです。
欧米やASEAN諸国へ化粧品を輸出する場合にはGMP証明を要求される場合があります。
発行は、日本化粧品工業連合会が行っています。
化粧品の輸出関係の証明書
そのほか、「化粧品製造販売業に関する証明」「化粧品製造業に関する証明」「化粧品製造(輸入)及び販売に関する証明」「製造販売業者の化粧品製造(輸入)に関する証明」「製造業者の化粧品製造(輸入)に関する証明」などの書類が必要となることもあります。
どの書類が必要となるかは国によって異なるため、輸出対象国を決めたら、その事情に合わせて準備を進めていきましょう。
化粧品を輸出する方法、海外での規制と対処法について基本的なことをお伝えしました。
細かいことは輸出対象とする国によって異なりますが、どの輸出方法を選択するかで準備の流れも変わってきます。
海外展開を視野に入れる場合は、お伝えした内容を念頭に置いておいて準備を進めていきましょう。